書評:批判的スポーツ社会学の論理ーその神話性と犯罪性をつくー 影山健著

 

オリンピック?

汚輪ピック?

 

著者情報と概要

影山健

一九三〇年生まれ(二〇一六年没)

東京教育大学体育学部卒業 東京大学大学院修士課程修了 教育学修士

文部省体育局文部事務官

名古屋大学講師 東京都立大学助教授

愛知教育大学教授を経て 一九九四年退官

愛知教育大学名誉教授

専門 体育学、スポーツ社会学、健康科学

編著書

『国民スポーツ文化』(大修館 一九九七年)『反オリンピック宣言』(風某社 一九八一年)『草の根教育運動のために』(国土社 一九八三年)『みんなでトロぷス』(風某社 一九八四年)『スポーツからトロプスへ』(風某社)『健康の落とし穴 養生としてのスポーツ』(大島清監修 財務省印刷局 一九九四年)その他多数

概要

なぜ体育を嫌う子どもたちが多いのか?なぜオリンピックの招致や開催に問題ばかりがあふれているのか?その問題の根底にある右翼的思想、軍国主義、商業主義的思想がどのように現代社会に影響を与え、未来ある子供達の可能性を狭めているかを認識させられる一冊。私達が待ち受けるのは地獄か、煉獄か?

感想

  • 運動が嫌い
  • 体育が嫌い

そう思っている人たちに読んで欲しい一冊。

かくいう私も「運動・体育」が大っ嫌いだった。

ゆえにこの本を読んで、こう思った。

自分で変じゃなかったんだ。運動が下手で、恥ずかしい思いをしていたのは、自分が全部原因ではなかったんだ、と。

つまり、安心したのである。

タイトルにもあるように、スポーツの神話と犯罪的な部分を中心に論が展開される。

とくに注目すべきは、「オリンピック」。

メディアはオリンピックの負の面を報道する気など、露ほど無いようだが、所詮”メディアはメディア”を割り切ってしまうしかない。

このオリンピック招致と開催に伴って、一体どんな「災禍」が起ころうとするのか、「日本」に住む人は無視すべきではないと思う。

そしてもう一つ注目すべきは「体育教育」の不合理性、矛盾、悪影響だ。

子供達がこの悪循環に晒されているかと思うと、胸糞悪くて仕方がない。

それもこれも「自己責任」の一言で片づけらられてしまうかもしれないけれども・・・。

 

引用❶

体育・スポーツは、何よりも従順で、目上の命令には素直に従うような人間づくりに貢献してきたのである。体力を育てるためといいながら、権威に盲目的に従うようなしつけ、訓練に大きな役割を果たしてきた。ところでこれらの特性は、権力側にとっては、誠に都合のよい”特性”なのであって、ただちにファシズムの担い手となる特性なのである。(影山健、2017、96-97)

思えば、私が受けていた体育の授業もこのような「従順の強制」というものを内包していたのではと思いだす。

どうして並ぶのか?

どうしてわかっているのに、人数を毎回毎回把握するのか?

というか「前ならえ」ってなんですか? 軍隊ですか?

 

運動会や体育祭も「勝ち負け」に異様にこだわっていた気がする。

これは私だけかもしれませんが、勝つ側にいると、負けた側になんとなく罪悪感があるし、負けた側になると、「悔しさ」とは異なる虚無感のような感情を撃ち込まれるような感覚に陥る。

「勝っても」「負けても」、私が言えることは「楽しくはない!」ということだった。

 

こう考えると、ことごとく日本の教育は失敗しかしていなんじゃないか? と思わざるを得ない。

座学の場合は、ただ知識を詰め込むだけ、体育もまるで「訓練」の残滓のように、従順を押しつけらる。

もし小学校に入る前に戻れるなら、「義務教育の修了証をくれ!」というだろう。

9年間も毒され続けるなんて、今思うとゾッとするほかない・・・。

 

引用❷

ここで体力の概念や内容が問題になってきます。本当は、私は、戦時中盛んに使われたこの体力という言葉を使いたくないのです。〔中略〕元来、健康や身体的能力というものは、個性的なもので、他人からとやかくいわれるようなものではないのです。(影山健、2017、170)

この考えは本当に驚かされた。

「体力」という言葉じたいが、戦時中盛んに使用さえた、ということも知り得なかったし、なによいあまりにも当たり前すぎた。

だとしたら、「健康や身体能力」の別の総称はどうすればいいだろか?

・・・・・・・・・・・・・・・・

う~ん。

なかなか難しい・・・。

しかし一つ言えることは、子供達を「体力」という一つの指標で測らない方が良いと言う事。

 

「僕のヒーローアカデミア」という作品には「個性」という能力が出てくる。

流石に漫画のようには行かないが、彼らの「健康や身体的能力」も、その「個性」と似たものと考えれば分かりやすいかもしれない。

 

引用❸

もう一つの問題は、片寄った健康体力観の押し付けです。それは、体力主義的健康観とでもいうべき健康観です。簡単にいうと、「体力が無ければ健康ではない」という考え方です。〔中略〕これですと、特に体力のない人は、たとえ極めて健康であっても、自分は「弱い」と決めつけてしまいがちです。これではわざわ”病人”を作り出しているようなものです。(影山健、2017、172-173)

一時期わたしも、何かに憑かれたように運動をしている時期がありました。

しかも受験期に。

狂ってゅあがる!!!

とまでは言いませんが、「運動=健康」という謎の推論がこびり付いていた気がします。

運動がほどほどがいいですね・・・。

まとめ

さて、どうでしたでしょうか?

この本は、過度な運動が健康に良い、アスリートは健康に違いないと勘違いしている人、オリンピックについて少しでも興味関心のある人に読んで欲しいです。

というか日本人にこそ読んで欲しい!

 

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