「大人なんてこんなもんさ」
「星の王子さま」を読んでいると、「大人」と「子ども」の対比がよく見て取れる。
さて
あなたは「星の王子さま」を知っているだろうか。
名前なら聞いたこともある人もいるかもしれないが、内容は知らないという人も、読んだことがあるよ!という人もいるだろう。
かくいう私は
「星の王子さま」を読んだことがない。
いや正確にいえば、日本語で読んだことが無い。
でもそういう本があったっていいじゃない・・・。
ということで、英語で「星の王子さま」を読んで気づいたこと、思ったことをこの記事で書いていこうと思います!
ちなみに今はフランス語でも「星の王子さま」を読んでいるので、そちらの記事も見ていただけると様々な点から「星の王子さま」について知っていただけると思います。
フランス語版との違い
先ほども書きましたが、
今現在、英語とフランス語で「星の王子さま」を読んでいます。
二つの言葉で読んでいく中で感じた違いを書いていこうと思います!
雰囲気
もしかしたら気のせいかもしれません。
しかし
英語で読む「星の王子さま」
フランス語で読む「星の王子さま」はそれぞれ違った雰囲気を持っているように感じられます。
英語はどこか、こう理路整然とした雰囲気。
フランス語は英語の様な厳格なものではなく、なんというかより温かみ、柔らかさを感じることができる気がします。
王子さまの言葉や行動も、フランス語の方が何故かそのまま伝わってくるようなのは気のせいでしょうか。
流れ
これは英語とフランス語の発音の違いが影響していると思います。
フランス語は、エリヅィオンやアンシェヌマンという働きによって、音がつながりやすいです。実際にフランス語を話しているのを聞いてみると、流れるように音が発音されています。
一方英語は、フランス語に比べると音がはっきりしている感じ。もちろん英語にも音が繋がることはあります。それも意外に多く。ですがやはりフランス語と比較してみると、一つ一つの音が割るとクリアに流れています。
訳
語学を勉強したことがある人なら、「訳」がどれほど難しいかは少しでも知っていると思います。
それぞれの言葉で読んで気づいた点は、その「訳」にあります。
まず翻訳とは直訳のことではまずありません。対応する単語を一つずつ当てはめて完成できるほど「訳」というものは単純なものではないのです。
そしてフランス語もまた然り。
ここで本文を見てみましょう。
英語
The little prince could guess easily enough that she was not any modest - but how moving - and exciting - she was !
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ、2017、「『星の王子さま』を英語で読もう」、(キャサリン・ウッズ訳)、株式会社研究社
フランス語
Le petit prince avait bien devinè bien qu'elle n'était pas trop modeste. Mais elle était si jolie et délicate !
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ、2015、『やさしいフランス語で読む星の王子さま』、Miki Terasawa編、IBCパブリッシング株式会社
2つの文を見比べてみましょう。
まず使われている文法や語彙が異なるのは当たり前だとして、違うのは「語順」です・・・!
後半の
「but how moving - and exciting - she was !」
と
「Mais elle était si jolie et délicate !」
英語の場合は、接続詞・副詞・形容詞 接続詞・形容詞 主語・動詞 という順番
仏語の場合は、接続詞・主語・動詞・副詞・形容詞・接続詞・形容詞 という順番
主語と動詞の位置が大きく異なることが分かります!
このことからも、単純に対応する語を当てはめていくだけでは、訳は成立しないということがわかります。
しかし訳としては対応していても、必ずしも完全に一致するというわけではありません。
英語の場合は、動詞にbe動詞の単数形の過去形が使われています。つまりは過去のある一点の動きとして捉えられているとも考えられます。
仏語では、動詞にêtre(英語で言うbe動詞)の半過去という形が使われています。この半過去とは未完了つまり継続中の過去を表すもので、一点の動きを表しているものではありません。
しかしよく見てみると、movingやexcitingという形容詞があります。確かにmoveもexciteも動詞、動きを表すことができるので、
she was moving and exciting という過去進行形を表している文と考えれば一致したものと考えることができると思います。
さて、あなたはどう考えますか?
大人ってやつ
And I forget him, I may become like the grown-ups who are no longer interested in anything but figures ...
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ、2017、「『星の王子さま』を英語で読もう」、(キャサリン・ウッズ訳)、株式会社研究社
はい。めちゃくちゃ大人を皮肉っている言葉です。
大人というものは「数字」以外に興味の無いものだ。数字ですべてを判断するものだ。
そうサンテグジュペリは伝えたかったのでしょうか・・・。
そう考えると、「大人」になるとことがどういうことか考えさせられます。もし数字に捕われることが大人になることならば、私は大人になりたくないですけど。