いったいどこをどうこじれたら
僕のヒーローアカデミアのフランス語翻訳版を買う輩がいるのだろう・・・。
あ、私でした。そ~でした。
と、文字という全然感情が伝わらないもので、うすら寒い子芝居はここまでにして・・・。
この記事では、「僕のヒーローアカデミアを英語で読んでみた」シリーズの続き?
というかフランス語版です。
(見れば分かるっちゅうねん・・・)
せっかくフランス語版を購入したのですから、読むだけではもったいない。
英語や日本語では味わえない、フランス語版の「僕のヒーローアカデミア」の魅力や興味深い点を紹介していきたいと思います!
目次
まず中身をちらり・・・
では同じシーンを、「日本語」「フランス語」「英語」で見てみましょう・・・!
日本語版
堀越耕平、(2014)、『僕のヒーローアカデミア』、集英社
フランス語版
堀越耕平、(2014)、『僕のヒーローアカデミア』、(David Le Quéré訳)、集英社
英語版
堀越耕平、(2014)、『僕のヒーローアカデミア』、(Caleb cook訳)、集英社
しっかり、「日本語」「フランス語」「英語」で分かれていますね・・・!
tuとvous
フランス語には、二人称を表す主語が二種類あります。
「tu」と「vous」というものでして
「tu」が、親密度が高い場合に
「vous」は親密度が低いもしくは、初対面の相手の場合に使ったりします。
そこで気になったことが
オールマイトと緑谷出久の関係です。
私の予想では、もちろん初対面の時には「vous」と使い、個性を譲渡する話を持ち掛けた時に「tu」に変化してるんじゃないか?と。
そこで、
それぞれのシーンのセリフを見てみましょう。
オールマイトが出久を起こす場面
TU AS L'AIR EN FORME, C'EST L'ESSENTIEL !!
堀越耕平、(2014)、『僕のヒーローアカデミア』、(David Le Quéré訳)、集英社
出久にヒーローになれることを言う場面
TU PEUX DEVENIR UN SUPER-HÉROS !
堀越耕平、(2014)、『僕のヒーローアカデミア』、(David Le Quéré訳)、集英社
注目してほしいのは、それぞれの最初のところ。
どちらも「TU」となっていますよね・・・。
どうやら私の勝手な予想とは異なっていたようです。
でも、どうしてどちらも「TU」が使われているのでしょうか・・・?
オールマイトの在り方?
ここで私が考えたのは、オールマイトの在り方です。
作中ではオールマイトは「平和の象徴」と言われています。
ヒーローとして、彼は万人に対して等しく、そして恐れ知らずの平和の象徴としてふるまうことが非常に重要だったと考えれば、
緑谷出久に対しても「TU」と表現するのには不自然な部分はないと思います。
次は、出久にヒーローなれる可能性を示唆する場面。
これは単純に、個性を譲渡しようと決心した相手なのですし、何よりオールマイト本人が心を打たれた相手ですから
少々他人行儀な「VOUS」を使うよりも、「TU」を使う方がより自然だと感じます。
どちらも「TU」であることに意味がある?
敢えて、逆に考えることが出来ます。
「tu」だから、「vous」だからという文字拘泥的態度を取るのではなく、
どちらも「tu」であるからこそ意味がある、という風に考えるのです。
オールマイトと緑谷出久が出会うシーンは、一度目と二度目で大きく異なっている部分があります。
一度目は、緑谷出久にとってオールマイトは単なる画風の強いNo.1ヒーローですが
二度目は、オールマイトは「ワン・フォー・オール」の継承者になっている。皆が憧れるヒーローとしてではなく、出久を導く師匠として緑谷出久の前に表れているのです。
実際、出久が最初にオールマイトに出会たとき、オールマイトはマッスルフォームでしたし、
そして二度目の邂逅は、彼はトゥルーフォームの状態です・・・。
こうした部分に違いが表れているのではないかと、私このように推測しています。
ではなぜこれほどの違いがありながら、「tu」という表現は変わらないのか・・・?
おそらくは、単語の違いでは表せないからだと思います。
オールマイトが緑谷出久に個性譲渡を件を投げかけたのも、「賭け」と言っていました。
一人の少年に可能性を感じつつも、
- 巨悪との対立を背負わせることになる責任感
- 出久が個性を使いこなせるかどうか分からない不安
に打ちひしがれながら、一人の少年を導かんとしているのですから、オールマイト本人も「緑谷出久」という完全な初対面ではないが、周知の中でもない少年との関係を推し量りかねている。
そういった僅かとも、仰々しいとも言えるような、機微とも動揺とも言えるような感情が「tu」が変わらないことの要因だと思います。
(長いな・・・)
こんな所までキッチリと!
出久と言えば、オタクのようなブツブツ長台詞!
さてこれ、日本語のどのシーンのブツブツ台詞でしょう・・・?
IL VAUT MIEUX FINIR UNE SEMANE AVANT L'EXAM, SI JE VEUX ÊTRE EN FORME...
IL ME RESTE DONC 294 JOURS... SACHANT QU'IL ME FAUT 48 HEURES ENTRE CHAQUE SESSION POUR LAISSER MES MUSCLES SE REPOSES...
IL ME RESTE DANS LE MEILLEUR DES CAS 98 JOURS D'ENTRAÎNEMENT ... Â RAISON DE CINQ HEURES QUOTIDIENNES, ÇA DOMME EN TOUT 490 HEURES...
堀越耕平、(2014)、『僕のヒーローアカデミア』、(David Le Quéré訳)、集英社
私が来た!
ヒロアカと言えばお馴染み。
さてこのセリフ、フランス語ではどのように表現されいるでしょうか?
LA CAVALERIE EST LÀ !!
堀越耕平、(2014)、『僕のヒーローアカデミア』、(David Le Quéré訳)、集英社
どうやらこの「CAVALERIE」。
騎兵、騎兵隊、機甲部隊といった意味がある。集合名詞だと馬という意味にもなる。
「cavalerie signifie(意味)」で調べてみると
Corps de l'armée ne comprenant, à l'origine, que des troupes à chevalという意味らしく、中々意味が変化しているなぁ・・・と感じました。
英語にあたる「HERO」が無いからと考えれば、こういったフランスでいう「英雄・ヒーロー」を使ったと解釈すれば納得できるが
「私が来た!!」
感があんまりないなぁと思いました・・・。
もしかしたら、フランス語独特の考え方とかが隠れているのかもしれませんね。
私の予想だと「J'ai venu !!」か「Je suis là !!」かと思ったのですが・・・。
まとめ
さて、どうでしたか。
普通の紹介だと面白くないので、色いろと考察を入れてみました!
まぁフランス語版でもなくても「僕のヒーローアカデミア」を読んで欲しいです。
フランス語を勉強している人はフランス語版で読んでみると良いかもしれません・・・!